こんにちは。地域デザイン研究室 M1 の永門です。今回は都市デザイン研究室のマガジンにお邪魔して、カトマンズプロジェクトの現地渡航についてご報告します。
2015 年に起きたネパール地震の被災調査を行っているカトマンズ PJ。3 年目となる今年度は「昨年度に提案したデザインガイドラインを現地の方々と擦り合わせていくこと」「これまで対象としてきた 1 集落から視野を広げ、これまでの調査・提案に位置づけを行うこと」の 2 点をめざして活動していきます。
そんな今年度初回の、そして私自身は初の渡航として、6/14 - 18 の日程で現地を訪れました。移動日を除くと、現地での活動は 3 日。その中で多くの活動を行い、濃密な時間を過ごしました。ここでは、具体的にどんなことを行ったのかご紹介します。
1 日目はまず、これまで 2 年間の調査で対象としてきたコカナの空間構造理解からスタートしました。最初は小林さんに集落の空間構造や昨年度までの調査成果を一通り教えて頂きました。その上で、自分でも調査をしつつ、集落の街路網やスケール感、沿道建築物のファサードなどを身体化させていきました。ネワール族(カトマンズ盆地に主に住まう民族集団)の集落自体を初めて訪れる身ですから、寺院を含めて伝統的建造物が数多く残る街並みに圧倒されながら歩きまわっていました。
▲ コカナの村はずれにある寺院のそばからの見晴らし。広がる畑や山並みが雄大で、集落のなかとは違った素敵な風景がありました。
夕方にはコカナの隣にある集落 Bungamati を訪れ、現地におられる Shrestha 先生にご案内いただきながら、まちあるきを行いました。水辺空間をパブリックスペースとして再整備し、そのために住民同士が協力して働くことで集落内のコミュニティ形成にもつなげていこうとする試みは興味深いものでした。
▲ Bungamati で整備されつつある水辺空間。住民の方々が協力して作業されていました。
2 日目はカトマンズ盆地にある他の集落を訪れました。駆け足でまわったのは、Bulu, Pyangaon, Chapagaon, Thecho という 4 つの集落。それぞれの生業や文化・宗教的背景をヒアリングで押さえながら、集落内の空間構造をみていきました。まわった 4 つでもそれぞれの背景のもとで異なる現状を示していましたし、それらと比較してコカナがどういう場所なのか?ということもぼんやり見えてきました。今後、より網羅的に・精緻に調査を行い、コカナで提案する意義・コカナの街並みにある固有の価値・他の集落への応用可能性をしっかり考えていきます。
▲ Pyangaon には、あちこちに竹でできた構造物がありました。地域独特の営みと結びついた風景もまた興味深いものです。
3 日目はコカナで現地の方々とワークショップを行い、森先生から昨年度の調査結果の報告を、小林さんからデザインガイドライン提案を行いました。報告や議論を踏まえた議論は大きく盛り上がり、多くのフィードバックを頂きました。
初訪問の私にとって、今回訪れた場所は何から何まで馴染みがないはずなのですが、どこか親しみを持つことができる場所でもありました。調査していると住民の方がふらっと話しかけてくださって、言葉は通じないながらにコミュニケーションを取れたりする、あたたかい場所でもありました。限られた調査機会のなかで、ここで自分はどういう役割を果たせるか?ということを意識しながら、これからの調査や提案に取り組んでいく所存です。