修士2年の松田です。
前の記事で但馬君が三国の山車を曳く体験をレポートしてくれましたが、
三国プロジェクトではその山車を初めとする祭の魅力を参加者が新しい形で体験できないか、実証実験を行っていました。
三国祭は北陸三大祭の一つでもある由緒正しく誇りあるお祭りで、
見に来る方も、町内・市内はもちろん、県内県外から幅広く訪れます。
▲観光スポットとしても有名な広小路での写真
大きな大きな山車が、歴史の趣あふれる狭い路地を先頭の合図に従って息ぴったりにすれすれで通過していきます。
その重量感と熱狂たるや、間近で見るに及ぶものはありません。
そして、この祭には知る人ぞ知る特等席があるのです。
それはなんと「家」。
山車の巡航ルートに面している町内のお家では、迫力あふれるこの光景を
涼しい町家で宴会をしながら待ちつつ、すれすれの距離で観覧することができます。
▲近い
タイトルにもなっている「祭ファンディング」ですが、
観光客もそんな特等席が使いたい!!!ゆっくり休憩しながら祭が見たい!!!
そんなシンプルな思いから始まった、まとめると
「宴会を開いて祭を見る」企画です。
(もちろんただ祭りを見たいだけではなく、空き家の活用方法の模索の文脈にある企画でもあり、「ファンディング」…発生する売上を還元し…など難しいことはありますが、今回は事業が成立するかについての検討とともに、まず参加者が楽しいか??魅力があるか??を検討しました)
今回は2つの物件(現在利用していない)を使わせていただきました。
ここからは、実際の様子を写真でご想像ください。
▲①:もともと化粧品店だったお家を貸していただきました。
▲休憩所にした外観。
▲②:使っていない2階部分を宴会場に。まさに家がなければできない体験です。
▲①:光の加減で中身が見えづらくて少し入りにくいので、自由に座れる場所を外に出してみました。
さて、ここからは①について書かせていただきます。
どのように祭が見えたかというと
すごく近いです!!!
休憩所では、最初はちょっとくつろいでいけるようなシンプルな配置だったものの、徐々にごはんや飲み物が持ち込まれ、宴会の様相を呈しました。中では、9割方くつろいで話しながら、昼下がりのある一瞬、街を回っている山車や神輿が通過するときだけ一斉に表に出て、写真を撮ったり、(地域の方は)知り合いに声をかけたり…。
祭りを追い回すわけではないのですが、このバランスが半日過ごしていると大変よい塩梅に感じられます。
まさに”三国の人”はこうか、と思うような錯覚を味わえます。
▲①の1F。一時的に畳を敷いた室内、自然体でくつろぐ参加者
また、1階での開催は普通に歩いて見学するのと同じアイレベルであり、新しさがあるのかの不安はありましたが、
同じ地続きの1階だからこそ、山車と一緒に練り歩いている人とあいさつや交流が生まれることもあり、嬉しい発見となりました。
他方、今回課題としてわかったところもありまして、
・「山車」という回遊性のあるものに対して、それを観光する人々の満ち干きがかなり大きく、定位置にある休憩所として多くの方に利用されるものにはなりがたかったこと。(宴会をしながら、時たま来る山車に目を輝かせるという体験の割合は、実際には楽しいのです。が、観光の立場としては、やはり山車を追いかけたい気持ちはありますよね)
・事業化するならば、一つ一つのお家の寸法や環境の違いにも安定的に対処しなくてはいけないこと。
などなど、モデルとしてはまだまだ検討の余地が残されています。
今回の企画を振り返り、今後は来年の事業化に向けて進んでいく予定です。
今回の企画実現にあたって、いろいろな方にご協力いただいたことに感謝しつつ、筆を置かせていただきます。