私にとっては今回が初めての三国訪問でした。まだ話や映像でしか知らない場所でいきなり祭りに参加する不安と、先輩方が語ってくださる三国の面白さを生で感じられるという期待を胸に三国を目指しました。
19日の昼に三国入りした私は、まず三国湊座さんで名物である三国バーガーをいただきました。その際に壁に三好達治の詩が書いてあったのを見て人知れずテンションが上がりました(直前に三好達治に縁がある街であると気づき詩集を購入して三国訪問に臨んでいました)
昼食後は、研究生の范と共に三国のまちあるきを行いました。地形に沿って曲がる道、そこに立ち並ぶかぐらだての建物といった三国のまちの特徴を確かめるとともに、家の前や空き地には祭りの準備をする様子や学校から帰る子供たちが横を駆けていくのを目にしたことで、このまちの時間の流れを感じることができました。
▲祭りは金曜日から始まっていたが、この日は明日に備えて準備しているようだった
一通りまちを巡った後は先輩方のもとへ向かい明日の祭りファンディング会場のセッティングをお手伝いしました。畳を並べ茣蓙を敷き、壁に様々なものを並べていく中で、明日この空間がどのように賑わうのか、イメージを膨らませながら準備していました。
20日朝、いよいよ山車を曳く日となりました。今回曳かせていただいたのは三国祭保存振興会の徳川家康の山車でした。集合場所を訪れてみると既にたくさんの人が。その雰囲気に押され、法被を着、お酒を飲み、写真を撮り、気づいたら出発の合図とともに山車を曳き始めていました。
山車を曳きながら街を歩くと、このお祭りが多くの人がいて成り立っていることがわかりました。曳き手を統括する役や方向転換を指示する役といった運転に関わる係に、山車人形に引っかからぬよう電線をどかしていく役目などが協力して山車を進めていく。屋台を出す人は山車が来ると屋根を押し上げて道を作り、沿道の人は暑さ対策に飲み物を差し入れる。山車に乗る子供の演奏で祭りは盛り上がるし観客の存在は引き手のやる気に繋がる…様々な人の参加が三国祭を成立させているような気がします。
お話を聞いたところ、今回参加させていただいた山車は、外部からのボランティアが半分以上を占めていたそうです。地元に住む・働く人だけでなく、坂井市の他の地区から参加されている方や一度三国祭を見たことで参加したいと思った他の地域出身の方、中には福井で英語の教師をしてらっしゃるという外国人の方もいらっしゃいました。好きな音楽の話から将来の進路のアドバイス(?)まで、祭りに参加する中でたくさんの人とお話することができました。
三国駅前に山車を集め、軽食を取るといよいよ祭りも終盤。提灯で照らされた山車がゆっくりと自分の蔵へと帰っていきます。地元の方はこの瞬間が一番きれいだとおっしゃっていました。一生懸命山車を曳きつつも、時には名残惜しくて速度を落としたり後ろに引っ張ってみたり…参加する皆さんの三国祭をずっと楽しんでいたいという気持ちが伝わってきました。
▲山車は惜しまれつつも格納庫へと帰っていく
今回の訪問で、三国の人々は熱いハートと温かいもてなしの心を有していると感じました。時にはぶつかり合いながらも、祭りを盛り上げる、三国をよくするという方向へ進んでいく。この街にこれから関わっていくことが非常に楽しみです。
最後に、今回の三国滞在で出会った全ての方々に感謝申し上げます。
ありがとうございました。これからよろしくお願いします。