都市デザイン研究室カトマンズプロジェクトでは、今年度もネパール・カトマンズ盆地のコカナという集落を対象として研究を進めています。昨年の地震で被害を受けたカトマンズにおいて復興への道のりはまだ長い中、貴重な伝統的建築や集落のあり方の保存を、地震からの復興といかに両立させられるか検討を続けています。
さて、10月の頭に、コカナ村で「シカリフェスティバル」という大きなお祭りが開かれ、メンバーが祭りの調査に行ってまいりました。主にはルッドラヤニという女神にちなんだ祭りです。
コカナ村には実に複雑なコミュニティや地域組織が存在し、色々な祭りを取り仕切っています。その仕組みの一端を解き明かすことができないか、そして祭りの時の集落の空間利用がどうなっているのか掴めないか、というのが今回の調査目的でした。
この祭りは8日間も続く長いものでしたが、私たちはそのメインの日程に合わせ、10月6日から8日の3日間現地に入りました。
▼調査1日目の街中。このお神輿に女神様を載せ、村の郊外の丘に運ぶ。
▼このような美しい田畑を抜け、神輿は午前3時に丘へと運ばれた。
▼丘の上には小さな寺院がある。白装束を着た人が演奏の準備をしている。
▼実に風景が美しい丘の上で、粛々と祭りは執り行われる。小さな村の割に、意外と観光客も多い。
▼ものすごく重そうな神輿にこの勾配。丘の上の祭りが終わった後、村の若者が頑張って街へと持って帰る。この後この神輿は町中を巡った。
▼実は運ぶのは神輿だけではない。どぶろくのような発酵酒が入った樽も一緒に丘に運び、そして町に戻す。冗談のようだが、常に太鼓の音を聞かせることで発酵を促進させるらしい。なるほど確かにずっと子供が樽の隣で太鼓を打ち鳴らしていた。
▼綺麗に晴れた調査3日目の朝。(ちなみにヤギや犬はいつもいる。)
▼祭りの中でも神事に関わる舞踊や音楽に関しては担当する人が厳格に決まっているため、若い人が出ることはできないようだ。一方で、そう行った厳格なものとは時間帯をずらして若い人々の活躍する場もあり、幅広い年代の人が楽しんでいる様子が見て取れた。
「祭りを見るとそのまちがわかる。」
この村を舞台にいろいろ考えてきた私たちですが、いざ祭礼の瞬間を目の当たりにすることで今まで見えてなかったまちの構造が少しだけ浮かび上がってきた気がしました。「ああ、ここはこう使うためにこういうつくりになっていたんだ」と思う瞬間もいくつかありました。
また、祭りということでたくさんの地元の方とお話しすることができました。特に若者は英語が皆達者で(こちらより上手かったりする)、いろんなことを親切に教えてくれました。非常にフレンドリーな彼らには、感謝してもしきれません。
カトマンズプロジェクトでは、提案に向けて、今後とも努力してまいります。