カトマンズプロジェクトチーム、黒島地区を視察。

こんにちは、カトマンズプロジェクトM1の小林です。

さていきなりですが、なぜネパール・カトマンズではなく黒島の調査報告なのか、疑問に感じられた方もおられると思います。まずはそのわけからお話しいたしましょう。

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2015年4月25日、首都カトマンズから北西77km付近を震源としたマグニチュード7.8の地震が発生し、多数の家屋倒壊や8000人を超える死者など、甚大な被害が生じました。

この地震を受け、東京文化財研究所が文化庁から受託した、ネパールにおける文化財の被災調査に、都市計画班として都市デザイン研究室の森助教を中心とするメンバーが参加しました。 

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▲昨年度川田さんのブログから抜粋。

昨年度より世界遺産暫定リストにも記載されている「コカナ」という歴史的集落を対象としています。ここでは、集落自体を文化遺産として理解するための分析ならびに、集落の町並み景観保全のための調査をもとに、復興と町並み保全を目的とした保存・整備計画の提案を行いました。

(報告書:http://www.tobunken.go.jp/japanese/publication/pdf/Nepal_NRICPT_2016_J_s.pdf

今年度は引きつづき、コカナ集落における復興と町並み保全を目的とした保存・整備計画の内容について検討しています。その際に日本の伝統的建造物群保存地区制度の枠組みが大いに参考になるとして、日本でも被災経験のある伝建地区の事例も合わせて研究しています。


前置きが長くなりましたが、輪島市・黒島地区も同様に2007年の能登半島地震で甚大な被害を受けました。

IMG_7117.pngのサムネイル画像

▲黒島地区を望む。奥に見えるのは日本海。光沢のある黒瓦と白木の下見板張りの家が並ぶ圧巻の風景です。

多くのお宅が被害を受ける中、伝統的建造物群保存地区制定を目指したまちづくりが行われ、2009年の6月に重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。

震災を経て、どのように復興と町並み保全を行ったのか? 建て替え後の町並みはどうなっているのか?など、ネパール・カトマンズ盆地のコカナの復興にヒントがあると、メンバーである森先生と修士学生3人で、7月24~25日に現地調査にいってまいりました。

市役所の担当者の方、まちづくり協議会の方々に当時のお話を伺ったのちに、一軒一軒、震災後に建て替えたお宅や、重伝建指定後に修理・修繕したお宅を案内していただきました。

IMG_7106.png▲案内していただいています。

担当者の方の、熱心な説明とご対応に感動したと同時に、調査結果をコカナへの知見となるようまとめるぞと身の引き締まる思いがしました。

今後も、より有意義な調査と提案ができるよう、ネパールへの渡航・調査だけではなく国内でできる事例研究も行っていきます。