三国プロジェクトでは、2019年8月の三国湊地区まちなかサイン悉皆調査に始まり、これまで、三国湊地区のまちなか回遊サイン整備計画の構想を進めてきました。
( 過去の記事はこちらです↓)
2019年8月の調査について http://ud.t.u-tokyo.ac.jp/ja/blog/2019/09/pj_5.php
2019年11月の報告会について http://ud.t.u-tokyo.ac.jp/ja/blog/2019/11/post_146.php
アーバンデザインセンター坂井と協働して進めている三国湊サイン整備プロジェクトは、大きく3段階に分かれています。第1段階で、まちづくりの視点からサイン計画の上位計画にあたるまちなか回遊戦略と、サインの内容、設置場所について提案します。第2段階で、具体的なサインのデザインを検討し、第3段階で、サインを設置するための土地所有者との調整と、施工を行います。
東京大学・東京都市大学三国プロジェクトチーム(以下では東京チーム)では、主に第1段階を担当しました。2019年11月の報告会をもって、第1段階がひと段落し、第2段階を福井工業大学のデザイン学科チーム(以下では福井工大チーム)に引き継ぎました。
そして、今回の報告会は、第2段階までの成果を、三国湊地区で暮らす方々に向けて報告するために開催されました。会場は、えちぜん鉄道三国駅。時折ホームに到着する”えちてつ”の車両を背景に、プレゼンをしました。
今回のサイン整備プロジェクトで最も印象に残ったのは、他学科と協働することの楽しさです。ものとしてのサインのデザインが優れているのはもちろんなのですが、アンケート調査やブランディングにおいて、都市計画分野ではあまり馴染みのない方法を多用しており、刺激的でした。
例えば、東京チームでは、まちあるきルートを「九頭竜川と水路の景観を楽しむルート」、「三国湊繁栄の証・寺社を巡るルート」など、直接的に説明した表現としていたのですが、福井工大チームでは、前者を「さらさらルート」(水の流れをイメージ)、後者を「ぽくぽくルート」(木魚の音をイメージ)と名付け、それぞれのルートのロゴとセットで、まちあるきをする人の印象に残りやすい工夫をしています。また、アンケートの項目では住民の方々の三国湊地区に対するイメージを、有名なチョコレートを選択肢として提示し、そこからイメージを読み取るという方法をとっています。
福井工大チームの発表を聞き、私たち東京チームの提案は分析の緻密さなどは評価できるものの、少し頭が硬かったかな、と反省しました。専門的な立場からの提案内容を検討した後、次の段階として、実際にまちを歩く人の目線で、アウトプットの内容を検討していくことの重要性に気づかされました。
三国プロジェクトが始まった頃は、三国で活動する学生は東京大学の学生が主だったと聞きますが、近年は、アーバンデザインセンター坂井のコミュニティキッチン「くららぼん」の基本設計を担当した福井大学建築学科ユニットSAB、今回サイン整備プロジェクトで協働した福井工業大学デザイン学科チームなど、どんどん関わる学生が増えています。
さらに、2019年11月には、東京大学三国プロジェクトOB・OGによる空き家活用の動き(トーキョーコーボ
https://yeastudio.tokyo/?fbclid=IwAR0GXcsLcoiP6fkVRuoiv9PwjJmyByzVIdqveUmuYx5_gFg9duWuAz-vihg)も始まり、まちづくりの輪が急速に広がってきているように感じます。
2020年3月に、まちなかサインが完成する予定であり、そのお披露目会を兼ねて、三国でまちづくりをしている学生合同の報告会を企画しています。それを機に、学生の活動をまちの人たちにも広く知ってもらい、地域の人も担い手として巻き込みながら、今後も活動を広げていきたいです。