ここからは、マガジン編集部で行なった神戸まちあるきの様子をレポートします。
このまちあるきでは、編集部・岡山の高専時代の友人で、現在は神戸市役所に勤める高見大地さんに案内をしていただきました。高見さんは神戸市の景観政策課にて景観協議や三宮-神戸エリアの夜間景観政策を担当されている方です。初日はあいにくの雨交じりの天候となりましたが、神戸の夜を歩きながら、景観行政に携わる方でなければ知らないようなまちづくりの現場の声を聞くことができました。
また、高見さんは三宮の西側、長田エリアで民間の立場からのまちづくりにも関わっており、空き家のリノベーションにも自ら参加されています。二日目はこの長田エリアを中心に散策し、地元を知る人ならではのディープなスポットも紹介していただきました。もちろん、高専時代に神戸で過ごした岡山にもお世話になりました。
お二方、あらためてありがとうございました。(お礼を言うのがとても遅くなってしまい申し訳ありません…。)
それでは、まちあるきの様子をご覧ください。
神戸滞在初日、お昼頃に西村先生へのインタビューを終えたあと、神戸芸工大から神戸の中心部・三宮に移動。しばらくは学生時代に神戸で過ごした、岡山の案内でまちを回ります。県庁のあたりから元町駅の高架下へ。
この高架下商店街は戦後の闇市に起源を持つ、間口の狭い店舗がひしめくある種魅力的な空間になっていました。三宮中心部に比べるととてもディープな場所です。ただ、高架下の耐震補強工事などで移転する店舗も多いよう。
▲奥まった入り口に、怪しげ(?)な店が立ち並ぶ
その後、南京中華街を通りつつ、スタート地点の神戸市役所に向かいます。
▲中国仕様のコンビニ。街並みは横浜の元町中華街にやはり似ている
神戸市役所の展望ロビーにて、高見大地さんと合流。あいにくの雨の降る中でしたが、早速三宮を上から眺めながら、これからの三宮の開発について色々と教えていただきました。
そこからはまず神戸に来たのだから、ということで北野エリアまでバスで移動、1時間ほどかけて北野異人館街を歩きました。ここは神戸開港以降、外国人の居留地として指定されたエリアで、今でもその斜面に当時の建物が点在しています。
▲写真右の方が今回案内していただいた高見さん。高見さんの案内で北野の建築をめぐる
もちろん明治の面影を残す建築も魅力的でしたが、面白かったのは「北野工房のまち」。1998年に旧北野小学校をリノベーションして誕生した「工房」で、単に商品の販売だけでなく、神戸ブランドを展開する店舗のものづくりの様子を身近に体験できる施設となっています。作りも、元の小学校の教室がそのまま利用されていたり、なかなか上手なリノベーション。
▲廊下や天井はおそらく元の小学校を活かして改修されている。兵庫の地酒もたくさん
そのあと、夜になって夜間照明がつくまで三宮高架下の中華料理屋で夕食。日が落ちてあたりが暗くなってきた頃からが本番の町歩きです。
三宮駅から港へと向かって伸びる大通り、フラワーロードを南下しながら、まちの照明を見て歩きます。今までたくさんのまちあるきをしてきましたが、言われてみれば照明をきちんと見ることは今までなかったような気がします。
▲右側に見える「普通の」街灯とともに、左側には低い位置からあたりを照らす「円筒状」の街灯
なんとなく綺麗だったりそうでなかったり、まぶしかったり暗かったりという感想しかなかったのですが、今回のまちあるきでまたひとつ視点が広がったような気がしました。
例えば、この照明。植え込みの中から伸びるように設置され、歩行者から見ると間接照明のように植栽を照らしています。他にも神戸には面白い照明の使い方がいくつもあって、単に道路の街灯のように道を明るくするだけではなくて、夜間景観の演出として設置されている照明がこのように幾つもあります。
また、上の写真では暖色の照明になっていますが、神戸市の場合には照明にLEDが使われており、このように他の色として発光させることができるようになっているとのこと。高見さんに聞くまでは気にも留めないことでした。
だんだんと西の方へ向かっていきます。日が落ちた居留地は昼間とはまた違った様相で魅力的に見えるし、だんだんと店が閉まり始めている中華街も先ほど訪れた時とは少し異なる顔を見せます。
海岸線に並行して走る高速道路の下をくぐり、港の方まで出てくると、潮の匂いが強くなってきます。メリケンパークは言わずと知れた神戸の名所ですが、海側から望むまちの夜間景観は、昼とは違ってとても魅力的に見えました。
▲神戸の紹介でよく使われる(?)風景。左から、神戸ポートタワー/海洋博物館/ホテルオークラ
メリケンパークから海沿いにハーバーランドまで歩き、倉庫跡地の大規模再開発で知られるモザイク、そしてまだいくつか残されている煉瓦倉庫を見て回り、およそ21時頃、神戸駅で解散となりました。
神戸は何度か訪れたことがあり、中心部もなんとなく知っているつもりではありましたが、改めて夜の景観をどのように演出しているのか、ということを行政の立場から教えてもらいながらまちを歩いていると新しく見えるものがたくさんありました。
(二日目に続く)
*高見大地(たかみ だいち)
1994年、神戸市生まれ。明石高専建築学科卒、2015年より神戸市役所に就職、景観政策課にて景観協議や三宮-神戸エリアの夜間景観を担当。職務の傍ら、長田エリアでのまちづくりに関わり、空き家のリノベーションを自ら取り組んでいる。