オンライン発表 & 討論会!

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M2の砂川です。今回は6/11に行われた討論会の様子をお伝えしたいと思います。

当日は、東京都市大学都市生活学部都市空間生成研究室(中島伸研究室)のみなさまがTTT(トーキョートラムタウン)構想について発表し、私たち上野プロジェクトは「アーツ&スナック運動 上野と湯島をつなぐ文化的歓楽街の再生論」という題目で発表をしました。

この記事では当日の発表スライドを使って、以下の2点に絞ってご紹介したいと思います。

1)アーツ&スナック運動の現在

2)2つのプロジェクトを通して見えてきたこと

 

1)アーツ&スナック運動の現在

上野と湯島をつなぐ文化的歓楽街の再生論 (5).jpg間口の狭いソシャルビルが立ち並ぶ池之端仲町通りは繁華街としての顔をもちます。2000年代以降悪質な客引きが増え、治安の悪化が問題になると商店街はこれを改善しようと動き出します。そうしたことを背景に都市デザイン研究室はまちの新たな方向性を模索しています。「アーツ&スナック運動」はその過程であり、成果ともいえます。

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現地調査と地元のビルオーナーさんとの勉強会を通して、私たちは「空きスナック」を発見しました。これらをまちの新たな文化資源としてとらえ、その活用を実験したのが「第1回アーツ&スナック運動」でした。

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当日は「空きスナック」に「アーツ」を挿入し、様々な使い方を提示しました。「空きスナック」を超短期で貸すことの手応えを地元のビルオーナーの方々からも伺えまして、今後日常的に展開できる仕組み作りの機運が高まりました。課題点として、ブラックボックスである空きスナックへのアクセシビリティを高める上でビルの入り口の設えにより工夫が必要なこと、またまち全体の雰囲気を変えていくにはビルのみならず路上空間のより広範囲な活用が不可欠であることが共有できました。

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当プロジェクトでは、ソシャルビル調査の中で、空きテナントを含め5つの「空きスペース」をこれまで発見しました。社会実験を通して見えてきた上階の空きテナントへの心理的・物理的な辿り着きにくさを解決するために、5つのスペースをそれぞれ活用しつつ、それらを立体的につなげる空間戦略を提案しています。

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現在も、それぞれの空間が池之端仲町の新たな一面を演出できるよう、具体的な利用者を想定しながらアイデアを膨らませています。

 

2)2つのプロジェクトを通して見えてきたこと

私たちは「空きスナック」をはじめとした小さな空間を段階的につなげていくことを主題とした一方で、「TTT(トーキョートラムタウン)構想」は上野駅から浅草まで伸びる大きな都市軸を主題としました。そして、私たちは社会実験をはじめとした「実践」からアプローチしていることに対して、都市空間生成研究室は未来の姿を描く「構想」からアプローチしているという捉え方ができるかもしれません。「実践」と「構想」の両方を往来することが時代の変化に対応するこれからの都市デザインには必要だと認識はしていましたが、改めて大きなヴィジョンのもつチカラを感じました。TTT構想は、交通と空間の両方をデザインすることで、まちのイメージを変えることにとどまらず、新しい人々の生活のありかたも提示しているように思えました。新しいからこそ、当日は様々な議論を生みました。私たちは「アーツ&スナック運動」のなかで、現状のまちの課題と向き合いそれらの解決策を考え、実践してきました。そうした実践をふまえ、いまいちど、未来にどういう空間を残したいか、まちが将来どうなっていて欲しいかという思いを絵にしたいと強く思いました。

このような刺激を与えてくださった東京都市大学都市生活学部都市空間生成研究室のみなさまに、この場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。

 

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