オランダ便り

今年2月からオランダのデルフト工科大学に留学中のM2瀬川です。早くもこちらに来て5ヶ月が経ちました。長らく音信不通でしたので、こちらに来てからどんな授業を受け、どんな生活をしているかについて少しご報告したいと思います。

今学期はランドスケープを中心に授業を選択し、学びました。1学期に設計スタジオが2つあり、前半ではオランダの典型的なpolderを、後半ではオランダのNew Dutch Waterlineという19世紀に作られた防御線の中の砦を、それぞれ敷地としました。

IMG_6776.JPG▲ 敷地の1つ、Fort Everdingen

個人的には後半の砦を扱ったスタジオの方がより楽しめました。首都アムステルダムを囲っている防塞線はすでに世界遺産に登録されていますが、このNew Dutch Waterlineもオランダの遺産として、どのように保全していくべきか、常に議論されています。しかし、ここで言う「保全」とはアジア的な保全とは違い、”preserving while development”を合い言葉に、60ほどある砦を次々とホテルやミュージアムへと改修しています。スタジオのエスキース中も常に、「何を残して、何を変えるのか」、「何があなたにとって価値があるのか」ということを問われながら、論理的な解を求められたことが印象的でした。また、水はどう扱うのか、植栽はどのようになるのか、断面図で高低差をスタディした方がいいなど、ランドスケープ的なアプローチを多く学べた気がします。

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▲ 廃墟状態のFort HonswijkのGun Tower内部

また学期前半にはVeduteというオランダのコレクションに展示するための作品を作る、という小さなワークショップがあり、幸運にも私の作品をコレクションに追加していただくことになりました。Veduteは建築家やランドスケープアーティスト、デザイナーなどが、予め決められた44 x 32 x 7 cmという枠の中で、それぞれの「空間」を表現する、ことを主旨としているそうです。私は”Boxed Shibuya”を作りました。ウェブサイトに作品の説明などがあるので、お時間あればご覧ください。

ちなみにオランダでは今、W杯の応援がとても盛んで、それぞれの家や店には国のテーマカラーであるオレンジの装飾がなされており、街並が随分と賑やかです。祝い事がある度に、明るく、でも穏やかに祝福するオランダの国民性に癒される毎日です。

残り7ヶ月、自分のペースでこちらの生活を楽しめたらと思います。