方法論としての「都市計画史」（planning history as a methodology）

「都市計画史」は、都市計画の研究や実践において、どのような役割を果たしうるだろうか。都市や都市計画に関心のある者に、都市計画史はどのような方法論的視野を与えてくれるのだろうか。本年度の都市設計特論第二では、「都市計画史（planning history)」についての歴史的、理論的な理解を深め、その方法論としての可能性を議論したい。なお、ここでの方法論とは（もちろん「調査の方法」のことではなく）「研究の方法」のことであるが、「研究の方法」に留まるものでもない。研究と実践との関係に踏み込み、「都市デザインの方法」としての都市計画史にまで射程を広げたいと考えている。本講義は、都市計画史や関連領域の研究者によるレクチャー、および主に都市計画史の歴史、方法、主題を包括的に解説した初めての書籍『Routledge Handbook of Planning History』（Carola Hein ed., 2018年)と、我が国の都市計画史の方法論について（極めて粗野な段階に留まるものの）省察と展望を目指した拙書『都市計画の思想と場所　日本近現代都市計画史ノート』（2018年）をテキストとして、議論を進めていくことにする。