三菱地所と三菱商事は十六日、検討を進めていた丸ノ内ビルヂング(通称丸ビル)と三菱商事別館ビルを超高層ビル2棟に建て替える再開発計画を公表した。
資料によると、建て替えられる新たな「丸ビル」は、地上37階建て(高さ・約180メートル)の超高層ビルとなり、8階までには商業施設などが入り、9階から34階までをオフィス、35・36階をレストランとする計画となっている。低層部は旧丸ビルの軒高と同じ31メートルとし、東京駅側に面した壁面の位置は旧ビルとほぼ同じにするなど面影を残すとしている。この超高層ビルは2002年完成を目指して来春着工の予定。
一方、西側(皇居側)に隣接する現・三菱商事別館ビル敷地には、地上20階建て(高さ・約115メートル)の三菱商事のオフィス専用ビルを建設する計画となっている。現在のビルを丸ビル跡の超高層ビルの完成後に解体し、新ビルを2007年に完成させる予定。
仮にこの2棟が計画通りに建つことになれば、東京駅頭・お濠端の環境・景観は大きな影響を受けることになる。新聞報道等によると、記者会見で三菱地所の福沢武社長は「今後十年間で五千億円を投じ、丸の内街の再開発事業を展開する。(同地域に地所が保有するビル三十二棟のうち)五、六棟を建て替えたい」との発言したと伝えられている。
この再開発計画案は、旧丸ビル敷地と西側に隣接する三菱商事ビル別館敷地を「特定街区制度」(注)によって一体開発するもので、東京都による容積率の規制緩和方針の初例として、周辺では過去最大の1437%の容積率(規定では1000%がこの地区の上限)が計画されている。
【用語説明・補注】
特定街区制度:
市街地内の街区や造成が行われる街区に対して特定の建築制限や敷地利用制限を定めるもので、容積率・建物の高さ・壁面の位置などが指定できる。ある事業が行われることによって周辺の都市環境の向上が図られると認められるとき、環境への貢献を担保にその事業に対して通常の容積率を超える容積率を割り増して認めることがある。
この割増(ボーナス分)は個別の都市環境の改善が前提となっているのであって、経済活動の活性化などを目的としたいわゆる「規制緩和」とは本来同一に論ずべきものではない。