【緊急トークイン第1回(98年1月31日)以降の動き】
●旧国鉄本社跡地などが高値落札
(98.2.10)
東京駅周辺の旧国鉄用地の競争入札が国鉄精算事業団で2月10日おこなわれ、丸の内側の旧国鉄本社跡地(約12000平方メートル)は三菱地所・日本生命が3008億円、八重洲口北側の用地(約12000平方メートル)は森ビル開発が1568億円でそれぞれ落札した。
三菱地所と日本生命は、国鉄本社跡地に隣接する6000平方メートルの土地を遭わせて一体で開発し、地上32階・地下4階(高さ145m)の業務用高層ビル2棟と地上11階のホテル・商業ビル1棟(延べ床面積計25万6000平方米)を計画している。2001年着工、2005年の完成を予定。
森ビルは地上33階建て(延べ床面積合計145000平方メートル)の業務・ホテル・商業の複合ビルを建てる計画で、2000年着工、2004年の完成を予定。
[各新聞記事から総合・要約]
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●懇談会、「ゆるやかなガイドライン」を公表
(98.2.25)
大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会は2月25日第5回懇談会を開催し、平成8年以降の同懇談会の検討による再開発のあり方の合意内容を「ゆるやかなガイドライン」として取りまとめ公表した。公表内容は東京都のホームページで閲覧できる。
◆「ゆるやかなガイドライン」のスカイラインに関する部分(引用)
「都心の機能更新に当たっては、多様な機能の複合や街並みに配慮した建物計画が重要であるため、今後形成されていくスカイラインについて一定の考え方を示す必要がある。地区のスカイラインを定めることは、周辺からの当地区の遠景・中景を規定するとともに、建築物の形態を規制する大きな要素となるが、今後地区全体として、統一性のあるスカイラインの形成を誘導するため、指針として以下のようにとりまとめる。 大手町・丸の内・有楽町地区は、総合的な業務環境整備による経済中枢性の一層の発揮と、多様な人々に開かれた都市機能の整備を目指すものであり、都心有数の自然である皇居周辺の水と緑に調和し、皇居外苑をはじめとする周囲からの景観に配慮したまちづくりを推進していく必要がある。 現況では、高さの制限は航空法以外は法的に定められていないが、都心に相応しい風格ある都心景観の創出を図るため、多様な都市機能の配置に配慮するとともに、全体として統一感あるスカイラインを誘導していく。その際、皇居周辺の水と緑を眺望できるよう地区全体として配慮する。 既に、当地区において定着しつつある概ね100m程度の高さも尊重しながら、一定のスカイラインの統一性に配慮し、概ね150m程度の高さまでを可能とする。 大手町、丸の内、八重洲、有楽町の各拠点においては、その拠点性や街並みの多様性の表象として、当地区全体のスカイラインとの調和に配慮しながら、概ね200m程度の高さまでを可能とする。 また、丸の内、有楽町の街並みを形成する軸(主要な通り)については、それらの特性を尊重しつつも、歴史的な31m(百尺)のスカイラインを表情線等として今後とも継承していく。 なお、スカイラインの考え方は、今後の社会環境の変化や個々の計画内容並びに東京都の景観条例及び千代田区の美観地区のガイドプラン等を勘案して対応していく。」 |
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●丸ビル跡地改築案公表される
(98年4月16日)
◆ 超高層・180m(37階)を計画
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●丸ビル跡地の特定街区、東京都・千代田区の都市計画審議会で審議
(98.5.12(区)・98.5.27(都))
丸ビル跡地計画案は特定街区制度の適用を前提としているため、建築確認の他都市計画決定が必要である。計画の公表と併せて「丸の内二丁目特定街区」として関係図面等が98年4月17日から同5月1日まで都都市計画局総務部・千代田区役所で縦覧され、5月12日に区都市計画審議会の区長宛答申、その後同27日に都都市計画審議会の都市計画決定を経ている。
地元区・千代田区の都市計画審議会では5月7日の審議会の時間内でまとまらず、この計画の審議のために5月12日再度審議会を開いた。「住民不在」「この場所になぜこの高さか」など席上異論が多くでたものの「やむをえない」との答申をまとめた。しかし答申に5つの留意事項をつける異例の結果となった。また、特定街区の都市計画決定には異例の、多数の市民からの意見書が都宛に送付された。
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●「大手町・丸の内・有楽町まちづくり懇談会 シンポジウム」
(98.5.28)
大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会は、2月に取りまとめた「ゆるやかなガイドライン」の一般向けの説明のために5月28日午後、千代田区立内幸町ホールでシンポジウムを開催した。ディスカッションではガイドラインの内容について様々な切り口から賛否両論の意見が出された。またその後の質疑応答では会場から活発な意見や質問がなされた。
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●日本工業倶楽部ビル建替・高層化の方針公表
(98.6.30)
三菱地所と社団法人日本工業倶楽部(平岩外四理事長・会員約1600人)は6月30日、東京・丸の内の「日本工業倶楽部会館」と隣接する永楽ビルヂング(三菱地所)を含めた0.8ヘクタールの再開発し共同ビル化することを決めた。2001年着工、2004年の完成を目指す。日本工業倶楽部会館と三菱地所所有の永楽ビル二棟を一体的に再開発し、高層ビル一棟を建設する。日本工業倶楽部は借地権を三菱地所に売却して建設費用を捻出、再開発ビルを区分所有する。
三菱地所は総額5000億円を投じ、今後十年をかけて「丸の内再整備事業」を進める計画だが、今回の再開発は四月に発表した丸ビル建て替え計画、旧国鉄本社跡地に続く第三弾。都心の大規模新築ビルの賃貸市況が改善しているため、設備投資をできるだけ前倒しする。三菱地所の推進する「丸の内再整備事業」は、丸の内の老朽化するオフィスビル5.6棟の建て替えをすすめる計画。
日本工業倶楽部ビルは1920年に完成した歴史的建造物。戦前から財界人のサロンとしての財界活動の拠点的機能を果たし、戦後も発足当時の経団連の事務所がおかれたほか、現在でも日経連と経済同友会の事務所がある日本の産業界のシンボル的存在になっている。近年は老朽化や耐震性の問題が取りざたされていた。三菱地所は同会館の歴史を重視し、新ビルの外観に現会館のイメージを残すことなどを検討している。
[1997年7月1日の報道を総合]