緊急トーク・イン「どうするどうなる 丸の内のスカイライン」

パネリストの意見


久保金司氏のご発言

 ご紹介いただきました、久保でございます。私は千代田区のマスタープランに対して色々とお手伝いをして参ったものでございまして、景観委員を仰せつかって3年ほどお手伝いをしてきた者であります。去年からは、マスタープランをつくるにあたっては街づくり懇談会の委員を務めて参りました。行政がこれから千代田区をどんな街にしていきたいかということに対して、お手伝いをしますということであります。

千代田区民として

 千代田区民の私としては千代田区がどんどん変わっていくっていうことは大切なことでもあります。新宿やら赤坂やら横浜、その他のように、都市はどんどん成長しているわけですね。千代田区もこれから、大きく成長していかなければならない。成長することはすばらしいことだなと、こうして感動している次第ですけれども、たまたまマスタープラン及び景観問題を勉強しながらですね、千代田区の景観マスタープランづくりを手伝ってきた。しかし、景観の問題に関してはボタンを掛け違えがあるんではないでしょうか。

 景観問題についてはですね、ガイドプランが必要であろうと、それには美の基準、美しさの基準を作る必要があるだろうということで、その基準なるものをどういう風にしたらいいかということで、それがたまたま、東大の西村研究室にたたき台をつくってもらおうと、こういう形で千代田区は依頼をしていたわけですね。これは大変すばらしいなと思います。たたき台ができればそこにいろいろな市民の意見、あるいは、地権者の意見、行政の意見、というような形でコンセンサスができるんじゃないかなというふうに期待をしていたわけでございます。ところが、この進行過程にも関わらず、たまたま丸の内・大手町の地権者達が計画したプランを昨年暮れに新聞発表してしまった。それが市民の眼には、いかにもこれで決まったかのような発表の仕方であったことは、大変残念に思えたわけです。それで、行政におたずねしましたところ、決して決定したものではないんですと、地権者達の要望が公開されただけですと、いうことでしたので、安心したなと、決定したことではないので安心したと、こういう風に受け止めております。まあ、誤解を招く行動はしてほしくないというお願いはしてまいりましたけれども、そういうことで、今日のような市民の意見を聞く場ができたということは大変いいことではないかなと。行政の方にも、こういう市民の意見をどんどんくみ取っていただいて、調整をするということが必要ではないかということを希望しております。

行政・市民・企業

 いずれにしても、都市をつくるとか街をつくるということはやはり、行政の方々の活動というか、指導がどうしても必要になるわけですね。そして、市民は行政を信頼していかなくてはならない、市民が行政を信頼するということはすごく大切だと思うんですね。また、行政に関していえば、行政には市民の信頼に応えていただけるような行為行動をしてほしいというお願いを切にしているところでございます。

その手続きについては法律やらその他規定があるわけですから、民主的なルールに従ってほしいということでございまして、何mが美しくて何mが美しくないということだけでなく、このようにテーブルに載せた形で、市民の意見を集めて、それで千代田区の、東京の、あるいは世界のと言ってもいいのでしょうか、美しいこの都市の再開発をしてほしいと。特にこの地区は美観地区といって、明治時代から、美しさを保とうと法律で決まっている地域なもので、他の新宿などの街とは根本的に違うのではないでしょうか。

 我々が長年、慣れ親しんできたこの美しさ、これを変えていこうと言うのですからやっぱり十分検討していただいて、品格のあるというか格調の高い幸せな街をつくってほしいなと、こう思っております。とかく、地権者達っていうのは法人なんですね、みなさんね。法人というのは顔が見えないんですね。ですからどうしても経済優先ということになって経済中心の計画が練られている。この際地権者にお願いしたいのは、法人というかぶっているものを脱いでいただいて、人間という立場に立っていただいて、計画を図ってほしいなと思うんですね。それからまた、しつこいようですけれども、行政には信頼が寄せられるような行為行動をしていただきたいと、そして指導していただければと思っております。今日も参加している、もっと広く市民の声を集めていこうとしているわけですから、市民の立場も単に反対運動じゃよろしくない。反対運動じゃなくて、美しい都市をつくりたいんだということを建設的に声を集めてみてはどうかなと、こんなふうに願ってい次第でございます。

 昔ですね、今ご紹介がありましたように昭和50年頃、東京海上を建てるときに美観論争というのがあったわけでございまして、その時には、三菱地所の権利者だった渡辺さんという方が東京海上に対して、これじゃあ高く建てすぎるよこれじゃあ困るよともう少し低くせいと言って反対をした訳でございますけれども、今は逆の立場に立ってしまったわけですね。三菱地所が中心になってやっておりますけれども、こういった経緯、歴史もきちんとふまえてほしいなと思っております。

 私個人の立場でいいますと、こうして模型を眺めるとよけいに感じてしまうんですけれども、ここに壁のようなところができちゃうと、皇居が壁に囲まれたように見えちゃう訳ですね。で、イメージする事は、京都の駅ビル街が本当に壁のようになっちゃったもんですから、とても残念なんですね。ああいうふうにならないように部分的に高いのがあってもいいんじゃないかと、むしろそうじゃなく透けて見えた方が美しいのかなとかいうふうにも思ったりしております。まだ自分の意見は固まっていませんけれども、なんかこう壁がすっかりできてしまって、かつて提案されたマンハッタン計画のようになってしまうといやだなあという感じで今思っております。美しさに関しては何が正しいのかわかりませんけれども、みなさんのご意見を聞きながら、私も意見を述べてまいりたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。


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