アメリカの州・自治体レベルにおける歴史的環境保全の取り組みに関する研究
〜マサチューセッツ州、ボストン市を事例として〜
A Study on Historic Preservation at State/Local Level in U.S.A.
〜A Case Study of Boston and Massachusetts〜


56135 藤田 文彦

In many cities and towns in the U.S.A, ecconomic devalopment is carried out in coordination with historic preservation. Among them, Massachusetts state is famous for its pioneering projects and historic preservation system. Approximately 250,000 historic properties are inventoried by state governments, namely Zoning, National Register,Demolition Delay and Survey. In addition, NPOs also play an extremely immportant role through their activities by revolving fund,education and so on.
The purpose of this thesisi is to clarify systems and activities at state and local level in U.S.A. by focusing on historic preservation in Boston and Massachusetts.

目次
序章 はじめに
柱、究の背景、目的
祷_文の構成

第一章 アメリカ合衆国における歴史的環境保全制度の概観
注痩ニ歴史保全法
痘史的環境保全に関わる組織
買iショナルレジスター(106項レビュー)
阜o済的優遇措置
沫史地区
酪ャ結

第二章 マサチューセッツ州における歴史的環境保全制度
茶}サチューセッツ州の概要
痘史的環境保全に関わる組織
迫史的環境保全計画
撫Bレジスター作成までのプロセス(調査、州レジスター)
柾Bレジスター作成後の歴史的環境保全施策〜レビュー
酪Bレジスター作成後の歴史的環境保全施策〜経済的優遇措置
広報
剌ャ結

第三章 具体事例をもとにみたボストン市の歴史的環境保全の取り組み
茶{ストン市の概要
塔{ストンランドマーク委員会
迫史的遺産の抽出、評価
父{ストン市における歴史的環境保全施策(レビュー)
俣s市計画サイドの歴史的環境保全(ゾーニング)
酪ャ結

第四章 マサチューセッツ州におけるNPOの歴史的環境保全に対する取り組み
誰POの概要
塔qストリック・マサチューセッツ
買qストリック・ボストン
父{ストン保全連盟
柾ャ結

第五章 考察とまとめ
酎S体像
東ツ々の施策について
剥。後の研究課題

柱、究の背景・目的、論文の構成(序章)
 歴史的環境保全制度の研究としては、これまで歴史的建造物が多数存在し、保全の意識の高いヨーロッパの制度に関する研究が多かった。しかし、ヨーロッパでは、国・自治体の権限が強く、私的権利を尊重する我が国にとって、ヨーロッパは参考になるとは言いがたい。
 私的権利尊重の観点から、歴史的環境を保全している国としてアメリカ合衆国が挙げられる。日本ではアメリカの歴史的環境保全に関する研究として、連邦レベルの研究もしくはある一つのNPOの取り組みに絞った研究がある。アメリカ合衆国では、州がそれぞれ独自に議会や行政制度、法律を持つため、歴史的環境保全制度が州によりそれぞれ違う。また、実際に保全を行っているのは、連邦レベルの機関ではなく、州・自治体レベルの機関がNPOと協力しながら行っているので、実際にどのような取り組みがなされているかを見るには、州・自治体レベルの取り組みが重要である。そのため、本研究ではマサチューセッツ州、ボストン市を事例として、州・自治体レベルでの行政、民間の歴史的環境保全の取り組みを明らかにすることを目的とする。
 本論文の構成は、第一章でアメリカ全体の歴史的環境保全に対する取り組みを概観し、以後マサチューセッツ州における歴史的環境保全の取り組みを述べていく。第二章と第三章では行政側の取り組みを第四章では民間側の取り組みを述べる。第二章でマサチューセッツ州の制度をまとめ、第三章で自治体の取り組みをボストンを事例としてまとめている。第四章ではマサチューセッツ州とボストン市のNPOの取り組みを述べ、第五章で以上のマサチューセッツ州の歴史的環境保全の取り組みを考察してまとめている。
 論文では連邦レベル、州レベル、自治体レベルを分けて述べているが、ここでは紙面の都合上、アメリカの歴史的環境保全の概要について述べる。そのため、論文の構成とは違った発表になる。

塔Aメリカにおける歴史的環境保全の全体像(第一章、第五章)
2-1組織
 アメリカにおける組織は連邦レベル、州レベル、自治体レベルで行政組織、NPOがある。これらが協力をして歴史的環境保全に取り組んでいる。マサチューセッツ州には、マサチューセッツ歴史委員会(Massachusetts Historical Commission、以下MHCと略す)があり、州内の全ての歴史的環境保全に責任を持つ。これは連邦政府により定められたマサチューセッツ州の歴史遺産保全担当官(State Historic Preservation Officer,以下SHPOと略す)の事務所も兼ねている。各自治体には歴史委員会(Local Historic Commission、以下LHCと略す)が存在し、MHCと連繋をとりながら歴史的環境を保全している。ボストンにはボストンランドマーク委員会がLHCにあたり、歴史的環境保全を取り扱っている。
2-2行政制度の特徴
 歴史的環境保全の制度では、抽出、評価、保護の三段階がある。これも連邦、州、自治体レベルでそれぞれある。それぞれの制度は表1に示してある。アメリカの歴史的環境保全の特徴をあげると以下のものになる。
・登録制度(ナショナルレジスター、州レジスター)
 日本でも文化財登録制度が昨年できたが、アメリカでは登録制度が広く普及し、歴史的環境保全制度の基盤となっている。ナショナルレジスターは連邦政府により行われている制度であるが、規制がないため規制の厳しい歴史地区より好んで使われる。このことからもアメリカにおいて登録制度が広く普及していることが分かる。アメリカの登録制度は、所有者に対して登録物件を管理し修復することを一切義務付けていない点が特徴である。ナショナルレジスターの主な目的は、広く国民の注意を喚起することである。
 ナショナルレジスターに登録される物件は建築物、地区、史蹟、工作物、および物品の5つのカテゴリーに分けられている。登録軒数は建築と地区が殆どであわせて90%近くになる。又登録の基準はアメリカの建国にどれだけ貢献してきたかといった側面が強い。
 ナショナルレジスターに登録されると以下の3つの利点が得られる。
@歴史的、文化的、建築的、もしくは考古学的に意義のある財産として認知され名誉が与えられる。
A商業建物等収益を生む建物の場合、建物の修復に要した費用の20%を所得税から税額免除される。
B連邦政府の関わるプロジェクトがナショナルレジスター登録物件に与える悪影響を軽減するような代替案が考えられる。(106条レビュー)
・代替案を考えるレビュー(106条レビュー、州レジスターレビュー、取り壊し延期条例)
 代替案を考えるレビューは、これから行うプロジェクトを決して頭ごなしに否定するのではなく、よりよいプロジェクトにしようとする建設的な制度である。アメリカでは環境アセスメントでも代替案を出さなくてはならないようになっている。
 この制度の特徴は、プロジェクトの最終決定権をもつ機関が歴史的環境保全を取り扱うMHCでもLHCでもないことである。プロジェクトの責任者が最終決定権を持つ。プロジェクトの責任者が歴史的環境保全に対して理解を持たなければ、この制度は無意味なものとなるが代替案を考える期間を設けることにより、歴史的遺産に対する悪影響を取り除く可能性は大きくなる。専門家に代替案を提示されることで、歴史的遺産の保存と開発の共存を図ろうとする人は多くなるからである。歴史的遺産の重要性に気付いていない人に知らせるためだけにはこの制度は歴史的環境保全に大きな貢献をしているといえる。
・ゾーニングを活用した許可を与えるレビュー(歴史地区、ランドマーク)
 アメリカでは歴史的に一つの建築を規制するよりゾーニングにより地区を規制する方が法的に正当性が認められている。そのため、アメリカでは補助金がなくても公共の福祉の名の下に歴史地区で美的規制をかけることが可能である。歴史地区がアメリカでは最も規制の強い歴史的環境保全施策となっているので、ゾーニングで規制する権利を持つ自治体が歴史的環境保全では最も規制力をもつ制度を有していることになる。ただ自治体はムチだけでアメのない歴史地区の適用には慎重になっている。
2-3 NPOの活動(行政との協力、監視システム)
 アメリカでは民間でできないことを行政が行うという背景のもと歴史的環境保全が取り組まれている。そのため、マサチューセッツ州でもNPOが行政と協力して活発に活動を行っている。また、NPOと州政府、自治体はお互いを監視するシステムでもある(図2)。
 協力機能としては、行政は、税制優遇、資金援助など制度面でNPO活動ができる土壌づくりを行い、NPOは、リボルビングファンドのような特別な活動を集中して行ったり、自治体が行う時間のない市民への啓蒙・教育を行ったり、自治体では手間がかかる手続を行うことなく機敏な活動を行うなど自治体が行うことのできない活動を行っている。また、ヒストリック・マサチューセッツやヒストリック・ボストンはMHCからの補助金をリボルビングファンドの一部に使っており、お互いの利点を活かしながら協力しあっている。
 監視機能としては、NPOは公開審査(Public Hearing)に出席し、市民を代表して意見を述べることができるし、歴史的環境保全制度をよりよく整備するための委員会のメンバーに選ばれる場合もある。また州政府、自治体はもしもNPOの行っているプロジェクトが歴史的環境保全にそぐわなければ、補助金を与えなくてもいい。
 このようにマサチューセッツ州では、行政とNPOがお互いに協力し、お互いの活動を監視し合って歴史的環境保全に取り組んでいる。近年日本でもNPO法案が設立されるであろうことから、このような活動は参考になる。

剥s政の歴史的環境保全に対する取り組み(第2章、第3章)
 ここでは紙面上のページ制限のため、行政の取り組みとして第二章と第三章を合わせて述べる。
3-1目録、州レジスター(図3)
 歴史的環境を保全するには、抽出→評価→保護の過程がある。抽出とは調査のことで、マサチューセッツ州では調査が行われるとその調査結果が目録としてまとめられる。これは各自治体も持っているが、州も持つ。州の目録*1には各自治体の目録以外にレビューの折に作成されたもの、所有者が記入したものなどさらに情報を加えたものになっている。
 この目録は、マサチューセッツ州と各自治体が歴史的環境保全を行うかどうか評価する基盤となっている。ここで抽出されたものが歴史遺産として重要かどうか評価され、重要であると評価されると、州や自治体は歴史地区やランドマークに指定したり、ナショナルレジスターに登録申請する。マサチューセッツ州はナショナルレジスターとは別に州独自の州レジスターを持っている*3が、これは様々な歴史的環境保全手段に指定や登録されたものの集大成になっている。その様々な歴史的環境保全手段とは1)ナショナルレジスター、2)ナショナルレジスターと同等の価値を有するもの、3)ナショナルランドマーク、4)州のランドマーク、5)自治体のランドマーク、6)州の考古学ランドマーク、7)歴史地区、8)地役権の8つである、州レジスターは歴史遺産として重要であると評価されたものの集大成で、マサチューセッツ州ではこれが補助金を与えるなど保護を行う基準となる。
3-2代替案を考えるレビュー(106条レビュー、州レジスターレビュー、取り壊し延期条例)
 レビューとはプロジェクトが良いか悪いか評価する制度である。これには大きく二種類あり、代替案を考えるレビューでプロジェクトの進行決定権がないものと許可を与えるレビューで進行決定権があるものとがある。
 代替案を考えるレビュー(表2)は、歴史的遺産が悪影響を及ぼされる時に始まる。106条レビューと州レジスターレビュー*3は、州と連邦の免許制、許可制の計画と、補助金を与えられた計画が、州レジスター登録物件に影響を及ぼす場合に、その影響を軽減する、もしくはなくす代替案を考えるものである。これら両方ともMHCが主導で行う。MHCの提示する代替案は、法的規制を有しているわけではなく、最終的に事業者がMHCの意見に同意しない場合、州の機関は事業者に財政援助、許可、免許を与え、事業を進行させていい。この制度は、単に事業者がMHCと代替案を検討する機会を作るだけで、事業を中止にする効力は持たない。
 取り壊し延期条例は、ある建物の取り壊し許可申請が自治体に提出された時に、保全する代替案を考える時間を作り出すために、取り壊し許可を下ろすことを遅らせるものである。この条例は、調査目録、もしくは国家レジスターに登録されているすべての建物を規制する。この延期機関は一般的に6ヶ月とされている。また、これは、建物の所有者がLHCと相談し、建物の歴史的重要さを再考し、取り壊しの代替案を熟考することが目的であり、所有者の建物の取り壊しの権利を規制するものではない。そのため、意見が合意しないときには、取り壊しの許可が下りる*4。
3-3許可を与えるレビュー(ランドマーク、歴史地区)
 州のランドマークは現在機能していな。各自治体ではランドマーク、歴史地区は機能しているがランドマークはそれほど指定されていない。自治体によりランドマークと歴史地区に指定されるとそれぞれ独自のデザインガイドライン(表3)が作成され、それに基づいてデザインが規制される。外観の変更(一部は内装も含む)の時にデザインに責任を持つ委員会によりデザインレビューがなされ、そのランドマークや地区にそぐわないときはその行為に対する許可が得られない*5。デザインに責任を持つ委員会とは、ランドマークではLHC、歴史地区では各地区ごとに歴史地区審議会(Local Historic District Commission)が設置される。
 歴史地区は規制が厳しくインセンティブもないため、ナショナルレジスターの地区だけに指定することが多い。行政側も歴史地区でポリスパワーを使うことに慎重である。ボストンの例を見ると、歴史地区は8地区であるのに対し、ナショナルレジスターの地区は約24地区であることからそのことが分かる。また、ナショナルレジスターの地区の登録には、50%の所有者同意という条件があるが、歴史地区にはない。
3-4経済的優遇制度(基金、補助金、財産税控除)
 マサチューセッツ州にはこれまで税制優遇制度がなかったが、現在、財産税控除の制度が検討中である。これまでは選定された調査や修復に対し補助金が交付されるだけであった。これはマサチューセッツ保全プロジェクトファンドと調査・計画基金である(表4)。個人には交付されることがなく、これらを受けられる資格のある組織は自治体とNPOである。また、それほど高額の資金が得られるわけではないので、窓の修復に使うなどすべての建物を修復するために使われるわけではなかった。プロジェクトの資金の一部として使われることが多かったようである。
 それに対し、個人に対してに歴史的環境保全に対して経済的優遇措置をとるために、財産税控除の制度が制定中である。これは、各
自治体が施行するかきめるのだが、修復して上がった財産価値に財産税の基準となる値を5年かけて徐々に上げていくというものである。いわゆる評価の据え置きである。

逼POの歴史的環境保全に対する取り組み(第4章)
4-1NPOの分類表と役割
 歴史的環境を保全していこうと取り組んでいるNPOがある。マサチューセッツ州で活発に活動を行っているNPOは多数あるが、歴史的環境保全への関わり方により大きく分けると5種類のものに分けることができる。以下に示す1)〜5)がその類型である(表5)。
 1)総合的な役割を果たすNPO
 2)事業を計画するNPO
 3)博物館を経営し、教育を行うNPO
 4)アドボカシーを行うNPO
 5)資料を収集し提供するNPO
 1)は修復プロジェクト、技術援助、教育など様々な活動を行うNPO、2)は修復プロジェクトを計画して実際に歴史的建築物の保存を行うNPO、3)は歴史的建造物や地区を博物館として経営し、また市民に歴史教育を行い、その結果歴史的建造物や地区の保全を行うNPO、4)は歴史的建造物を実際に修復するのではなく、歴史的環境保全を取り扱う機関や一般市民に対して危機に瀕している建物などの情報を提供することで歴史的環境保全を即すNPO、5)は歴史的環境をつくり出した歴史的背景の情報を提供するNPOである。
4-2リボルビングファンド
 NPOが行う活動で最も有効に機能しているものの一つにリボルビングファンドがある。これは、歴史的環境を保全する目的で基金を集め、その基金を運用して活動を行い、活動により得られた金をまた基金に戻すといったように資金が回転することからこのような名前が付けられている。しかし、実際に歴史的環境保全において資金をまた回収することは難しく、回収せずに他の資金からリボルビングファンドに補充する形をとっているものが多い。マサチューセッツ州では、主なところでヒストリック・マサチューセッツとヒストリック・ボストンがリボルビングファンドを使って活動を行っている。これにより実際の修復プロジェクト、歴史的遺産の調査、実行可能性調査が行われている。

枕l察とまとめ(第5章)
5-1登録制度の活用
 日本でも届出制のみの文化財登録制度により、これまでの規制の厳しい重要文化財や伝統的建造物群保存地区とは違い、歴史的建造物の自由な使用が認められるようになった。歴史的建造物をまちづくりに活かすのであれば、規則を厳しくするのではなく、自由な使用を認めて建物を活用できるようにする方が有効と思われる。
5-2開発との整合性(代替案を考えるレビュー)
 日本でもこの制度の活用は有効であろう。歴史的遺産をただ単に破壊するのではなく、代替案を専門家が考案する時間を設けるこの制度は、開発者に歴史的環境保全を考慮させるための機会を与える。日本にはこれに相当する制度はないので、導入すべきである。
5-3ゾーニングの活用(許可を与えるレビュー)
 公開審査でデザインレビューを一件一件行うことは手間と時間がかかる。ボストン市バックベイ歴史地区の公開審査ではお互いが納得のいく結果を時間をかけて追求していた。ただ、皆が景観問題に真剣に取り組んでおり、ボストンでは有効に機能していた。
 この制度は能動的な行為に対してのみ規制がかかるため、建物所有者が行動を起こさない限り、デザインレビューができない。そのため必要最小限の維持、管理を怠る建物所有者がいると景観が損なわれる。これに対応するために、ロエールの歴史地区では必要最小限の維持、管理を義務づけている。

脚注
*1 現在250、000件からなる目録をマサチューセッツ州は有している。
*2 州レジスターは約2、000件、地区内の建物数を含めると総数32、000件以上の登録件数からなる登録台帳となっている。
*3 合わせて年間7、000件をMHCはレビューしている。最終的には250ー300件は改善されないままプロジェクトは進行していく。
*4 ボストン市では取り壊し延期条例ができて一年半の間に取り壊しの代替案が適用されたことはない。
*5 95年7月から96年6月までの期間に、ボストン市の8つの歴史地区において、86%は許可が与えられている。

主要参考文献
^西村幸夫『アメリカの歴史的環境保全』、実況出版、1994
_Tersh Boasberg,Thomas A. Couglin and Julia H. Miller, Historic Preservation Law & Taxation 1-3,Matthew Bevder & Company,1987-1989
`Massachusetts Historical Commission;"Massachusetts Historical Commission",1994
aMassachusetts Historical Commission;"Preservation Planning Manual-Local Historical Commissions Their Role in Local Goverments", 1991


作品論文トップへ