1999年度支部共通事業 日本建築学会設計競技
課題
「住み続けられる"まち"の再生」

<要綱主旨>
我が国では、戦後から経済成長期にかけての人口の大都市集中型の都市化時代は終わりを告げようとしている。
これまでややもすれば経済活動優先のために犠牲とされてきた、生活の質的内容やそれを育む環境のありかたが新たに問われようとしている。
そのなかで21世紀の日本のくにづくりの基幹をなすものとして、中小都市の戦略的な役割が注目されてきている。
一方現在、郊外地への大規模店舗の進出などによって、中小都市の中心部は衰退を余儀なくされているところが多い。
これら中小都市の活性化に欠かせない町の中心部の再生は、単に瀕死の商業機能そのものを活性化するという課題に限定されるものではない。
商業活動の活性化は総合的な"まちづくり"への取り組みとして、高齢化社会の進展とも連動し一体のものとして捉える必要がある。
中小都市の再生は、根本的には市民による地域のライフスタイルの再構成、それと呼応する生活環境総体の再構築の問題として取り扱われるべきものであろう。
やや、具体的にいえば、商業活動、SOHOの立地を含めた土地利用の複合化による中心地区の24時間活動性の創出、高齢化を含めた多様な年齢層の中心部居住の積極的導入、バリアフリー化など歩行者指向の仕組み、環境にやさしい交通システムや建築の導入、などの可能性が検討されるべきであろう。
また、地域の歴史的な環境や自然環境を生かした"そのまちらしさ"の創出、まちに住む歓びを感じられるような空間の創出が求められている。
持続可能な建築は、都市を持続可能とする上で重要な要素である。
その意味でも建築は、都市デザイン的、環境デザイン的、な総合性をもった文脈のもとに、また同時にその文脈をつくるものとして創られていくことが期待されている。
対象地域として、実在の中小都市の中心部を取り上げる。地域の実際の課題の認識に照らし、かつ、総合的な文脈を押さえつつも、強調点をはっきり打ち出した提案を求めたい。

<提案>