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松村みち子(タウンクリエイター)
今回のトークインについて
一昨年東京に転居してくるまで、地方都市に住み、まちづくりの仕事をしてきたが、都民になっても身近なところで一体どういうことが起こっているのか、さっぱりわからなかった。
その大きな原因は、まちづくりの情報が私のところ(いわゆる一般都民のところ)にまで、なかなか届かないことにある。そうして、ビルが壊され、新しく建物の工事が始まって、ようやくどういう計画が進んでいるのかがわかる。景観を考えるより先に、そのような計画の進み方自体に問題がある。まちへの愛着があってこそ、でき上がったものを(景観を)美しく保とうという意識も育つのではないか。今まで都民は何も声を上げないのか、まちづくりに対し、どんな気持ちを持っているのか不思議だったが、ちゃんと真剣に考え取り組んでいこうとしている人もたくさんいるのだということが、今回初めてわかりホッとした。どんなまちづくりも、原動力となるのは手弁当でもやろうとする熱意、ボランティア精神だ。私も大変勇気づけられました。みなさま、ご苦労様でした。
むろじん(コンサルタント事務所勤務)
丸の内が日本の都心を自負するのなら、建物の高さではなく、景観の質の高さでアピールして欲しい。
それこそがノブレス・オブリージュだと思う。
岩崎修 (ヘルム建築都市コンサルタンツ)
この2、3年の間に公共建築物あるいは少なくとも公共性を持つ建築物、それらをふくめた周辺環境に対して住民参加型によるまちづくりの協議会というものが非常に増えてきています。それらは「都心」に限らず、住民の方々が自分の住む街をどの様な街がよいのか、どんな街にこの先住み続けたいのかを、自分たちで考え、作っていくという姿勢の表れではないかと思います。
今日のシンポジウムはスカイラインあるいは建築ボリューム、一私企業の開発計画について言及されていましたが、丸の内の特殊性、歴史性はある程度の認識を皆さん持たれていた様です。これから100年、200年の長期スパンで街を見ると同時に5〜20年の中短期で見る視点をあわせ持ち、丸の内がどういう街、どういった街にしていくのかというということを皆で知恵を出し合い、仕掛けを盛り込んでいく必要があるのではないでしょうか。
守るべきものは守るとして、あれはダメ、これはダメと抑えつけるだけではなく、このシンポジウムが、ではどうすればよいのかという、知恵の出し合い、知恵くらべの場になっていくと、行政や企業も含めた具体的なまちづくりの場になるのではないでしょうか。
右肩下がりの時代での個人個人の認識の持ち方、思想の問題でしょうか。
個人的には丸の内及び、丸の内周辺は非常に好きな場所なのでオフィスワーカーのお父さん達だけに占有させるのはもったいないと思いますが・・・。
N・N(21才・学生)
景観を考えるときにスカイラインとは一体何の意味をなるのかという、まず基本的な問いが私の中では明らかになっていないのですが、印象としてそれは都合の良いキーワード、現在の都市計画法の基本的な考え方の容積規定を表現する重要な要素という気がします。逆に考えると景観の中でスカイラインが果たす役割は、現在の制度の中で浮かび上がっているだけで、もっと他の要素、建築協定的な感覚が現在のスカイラインぐらいの意識を持ち得るような方向を示す議論がもっと行われてもいいかなと思います。大きくてもいいビルはあるし、たとえスカイラインがそろっていても、中身が満足できない場合もあると思われます。またスカイラインは経済の規模の原理でかなり決まってきてしまうかもしれないと思うと、切にそう思います。
府川充(41才・GK設計地域計画部)
市場経済至上主義的な、計算ずくしの上で、都市の形や容量が決定づけられる動きがおこりがちな中で、いかに、いわゆる中小規模の商業や路上の様々な活動は、小ささや弱さの上で消えやすいかと思っています。丸の内のスカイラインを考えていく上で、低層部あるいは接地空間における様々なそして小さな活動がうまく守られるような仕組みをどうつくってゆくか、ということも大切だろうと考えています。
特定の階層や企業集団が価値を認めるというより、より多元的な価値を組み込んでゆくか、といったほうが重要になるはずです。ビルディングタイプの議論をこまかくやってゆく方向もありそうですね。
ともかく、いろいろな意見の交換によって、利用者、享受者、住民、すべての角度からバランスのある姿を繰り返し検討する時期ですね。
インターネットでの意見の集約は楽しみです。より多くの意見は大切です。ただ多数決というしくみは好ましくないかもしれません。
赤倉昭男(61才・相模原市相模台地区自治会連合会長)
近代都市の名にふさわしい高層ビル化に賛成する。都民に限らず日本人の気概にポジチプな影響(心理的)を与えるに違いない。これからつくられる高層ビル(いくら高くてもよい)のデザインは美しいはずです。
パリのような(旧市街の)低層ビル群もよいが、丸の内は徹底した高層化にして、他の都市はまた別の考えで行きたい。問題はただひとつ、容積が現在の何10倍にもなれば、駐車場、交通機関のインフラをどう解決するのか。高くした分、平地を増やし、公園、カーポートを作ることに地権者がどう対処するか。
K.T(21才・学生)
丸の内という場所は単に住民の方々のみ、地権者のみでなく、交通移動による来訪者やオフィスで働く人々にとっても重要な場所であり、そういう様々な人々の意見をふまえつつ、景観のみでなく、その土地の持つポテンシャルをふまえた将来に向けてのビジョンについて、広い範囲の人々で議論よりつめていく必要がある。
鉄矢悦朗(34才・鉄矢悦朗建築事務所)
丸の内ワーカーも丸の内の市民として、働きやすい場づくりに参加できるようにしたいですね。どうして丸の内で働きたいのか?どんな魅力があるのか?
今後の丸の内計画を、ワーカーの視点でチェックしていくことも必要です。ワーカーがどういう視点でいるのか、のデータは、オフィスマーケットとして重要な前提条件になり、設計に影響が出るのではないか?!
古い建物が美しくありつづけられるような配慮をしてほしい。31mという配慮の歴史は、今後も継続してほしい。
この計画をしている建築家は、本当によいと思って計画をしているのでしょうか。あなたも建築家です。もっと自分の意見をしっかりもって計画していただきたい。まちが成長するとは、建物が次々に大きく新しくなることとはちがう。
せっかく31mにそろって、人々の心になじんだスカイラインをなぜ壊すのか?先人の英知を語り継がずに、何がまちづくりか?
岡崎均(29才)
丸の内という、住むまちでなく働くまちであるという特性からして、市民参加の幅も広く、方法もいろいろあると思います。
継続的に今日のような場をもてることを願います。あと、できれば、丸の内スカイラインに関する展示スペース等が、どこか、区の施設にでも、企業の一スペースにでも持てると良いなと思います。
中島耕(42才・全国町並み保存連盟)
一国の中央駅と宮殿が象徴的な広幅員道路で結ばれている例は、世界的に見ても日本の東京駅だけではないかとのこと。いよいよもって、現在の東京駅前(丸の内)の景観を保全する必要を感じる。
10年前に丸の内マンハッタン計画が発表された時、都は一極集中の一層の悪化や交通混雑の激化などを理由に反対を明確にしていた。ところが、今回の再燃の動きに呼応して、昨年末には政府が経済対策の柱として都心部の容積率1300%の実現を盛り込み、またしても政治・経済最優先の流れがあからさまになった。どうやら今回は景気対策の名の前に、都の美観重視の姿勢も弱々しげだ。
全国各地でわきおこっている景観保全の市民活動は、地域住民自身による熱心な活動にも関わらず苦戦しているものが多い。寄り合い都市である東京で、都市美論争が活発に議論され、一定の成果を得ることができれば、今後、全国各地の景観論争に強力な支援材料になるはず。そのためにも丸の内の景観保全に対してだれもが強い関心を持っていくことが必要だと思う。
谷田部龍彦(54才)
東京23区内で一番美しい都市景観は皇居周辺ではないかと思います。新宿副都心の立体的美しさ、ウォーターフロントお台場付近のレインボーブリッジを遠方から見る美しさ、それぞれに見る都市景観の良さがあります。しかし皇居周辺の丸の内・有楽町・大手町付近は雑然とではなく整然とした都市美観があり美しさはやはり日本の顔・首都の中心である場所ではないかと思います。個人的には1988年三菱地所が発表した丸の内再開発計画(マンハッタン計画)には賛成します。理由は整然とした都心景観ができるからです。
荒井清児(27才・(株)AUR建築・都市・研究コンサルタント)
これまでの丸の内の展開、計画案についての歴史的な根拠が必要なんだろうなと思います。マンハッタン企画を全面否定するのではなく、「その時彼らが夢見たもの」「もしこうしていたらマンハッタン計画も実現していたかもしれない」「どんな課題をどのようにクリアしながら変わってきたのか」という、まちのうつりかわりのあやうさみたいなものの翻訳、共有も大事なんだろうと思います。また、共有をすすめていく活動母体の継続的運営の仕組みづくりがここでのまちづくりの個性を代表するんだと感じます。
未来のアーバンデザイナー(21才・学生)
垂直にのびるだけの都市にはしたくない。
日本の都市計画制度の抜本的な改正がひつようなのでしょうか。まだまだ情報・議論材料が足りない感じがします。
A. M(20才・学生)
丸の内のみならず、皇居周辺は東京の顔また日本の顔であるから、都心の景観については将来ビジョンを明確にし、時間をかけて議論する必要があると思う。
いろいろな提案をだしながら、丸の内及び都心のあるべき姿を模索することが重要なのではないか。
都市計画を勉強する学生として、しっかりとした視総や価値観を持って、将来のまちについて考えたい。
天羽大器(40才・港区史研究同好会、日本大学考古学研究会)
・ なんでも新しい建物にするよりも古いものを活用しながら再開発するべきではないか。
・ 古いものはこわす事は簡単だが、一度こわしたものは永久に残らない。
前田英寿(31才・(株)曽根孝一・環境設計研究所)
容積率増・高さ増によって予想される丸の内の姿に対し、一般市民がもつ嫌悪感の根拠づけを、専門家が科学的裏付けをしなくてはいけないと思う(自分も含めて)。今日の議論で出た、空地と建物のバランス、歴史性、スカイライン(景)に加えてさまざまな技術方面にはたらきかけたらどうか?たとえば、タワー型オフィスの執務環境性能、街路に投影される複合に日影。特に気になるのはビル風。市民運動・感情を勇気づける技術…。
小林寿美子(34才・千代田区議、バブルの教訓を生かす自治代議員の会)
今の丸の内も道を歩いていてかなり、圧迫感があって冷たくなっていると思います。これ以上高層化したら、まず散歩したいまち行きたいまちとはいえないでしょう。私は発言にもあった、31mラインを、守るべきだと思う。
パリのまちは、失業者が30代で4人に1人、日本以上に景気対策が必要でも300年(?)の町並、建てものを改築しようとしていません。環境の悪いところで良い発想は生まれません。どうしても容積規制することが経営に明らかな損害を与えることになるなら数字で出していただいて既存の許容容積より規制される容積率を公的に基金等で買いとっても(あるいは、郊外に空中権を移転しても)歴史的な景観を守り、空間は私有財産ではなく公共のものであるという意識を日本全体に広げる出発点にすべきではないでしょうか。
丸の内だけではなく、都心は全体に規制を強化し、容積率を切り下げるべきだと思います。
河村康孝(22才・早大建築学科)
このような高層建築の林立に賛成するわけではないが、本日のシンポジウムにおいて皆反対意見ばかりで、ディスカッションがうまく成立していなかったのではないかと思う。賛成の立場を取らせてもらうと、景観において、高層建築がこの皇居周辺に本当にふさわしくないのであろうかという点があいまいである。また、マンハッタンにおいては、あまり批判する人はないのではないだろうか。本当に高層建築が良くないのであれば、反対するばかりでなく、この皇居周辺にふさわしいような計画を考えればよいのではないか。また歴史性についても「ここから歴史を創って行く」という観念もあると思う。
(今回は公開非公開がなかったため掲載いたしませんでしたが、何らかの形で掲出できたらと思います)
ありがとうございました。