岩手県北地域再発見事業


二戸市



まちづくりの課題

 (九戸城址周辺・福岡地区の課題)



まち全体としてのイメージが薄い 個別に魅力的な場所や建物はあるが、それらが線的・面的なつながりをもたないため、まち全体のイメージが掴みづらい。 旧街道(県道二戸一戸線)の街路拡幅事業は本当に必要か?  現段階では交通量の点から見ても、必要性は低いのではないか。街路を拡幅せずに、電柱の地埋化や、舗装のやり直し、その他の手法を組み合わせることで、歩行者空間の質を高めてゆくことができるはずである。九戸城址と周囲の”宝”とのつながりが見えない  福岡は地形の起伏が激しく、九戸城も馬淵川、白鳥川の断崖を利用して築かれた。だが今では、そのつながりが見えにくくなっている。また城址も川も福岡を特徴づける景観を持ち、両者を関連づけることで相乗効果が生まれると思われる。商店街全体に活気がない 県道に面した商店の中には、空家となっているものも何棟か見られる。どのように賑わいを取り戻すか、客をどう増やすかということを、観光客も視野に含めて検討する必要がある。 歴史的な地域の資源がまちづくりに活かされていない  福岡地区には、第3章第1節〜3節で述べてきたように、多様な町の“宝”がある。しかしそれらの“宝”の多くはただひっそりと点在しているだけである。また“宝”と“宝”のつながり、ネットワークが見えない。
4つの提案

【提案1の抜粋】




現在のメインストリートであるこの県道では、拡幅事業が検討されている。しかし、拡幅事業は沿道の建物の建替えや改修を伴うので、長期かつ大掛かりなものとなってしまう。また、これまでにつくられてきた福岡のまちなみが壊れてしまうおそれもある。そこで、道路自体に多少の改良を加えるだけで、通りを快適なものに変える方法を考えてみる。●「街路の人だまりの空間」歩道の幅は一定でなくてもよい。歩道のところどころを広げて、人が溜まったり休めたりするちょっとした空間をつくっていく。現在、県道を歩きにくくしている最も大きな原因の一つが、歩道上の電柱・標識・街灯である。そこでこれらをできる限り一体化して、歩道スペースをすっきりさせる。またお年寄りや体の不自由な人、小さい子供にとって、歩道に休憩スペースがあることは重要である。そこで、建物や塀がややセットバックしている空間を歩道部分に組み込み、人が溜まったり、一息つけるような空間をつくっていく。 歩行者が安全・快適に通れるように、また自動車がスピードを出しづらくなるように舗装を工夫する。さらに側溝と路側帯を一体化する。車のスピードを抑えるのは、交通量が多い通りを歩きや すくするのに有効な方法の一つである。例えば石畳のようなもので車道を舗装すれば、九戸城の雰囲気を醸し出す効果もある。そして車道端部の側溝と路側帯を一体的に舗装し、歩道を広く、歩きやすくする。小さな段差がなくなり、自転車も通りやすくなる。

【提案2の抜粋】
〜二戸の「旅」の出発点〜

ビジターセンター・駐車場  現裁判所地には、ビジターセンターと駐車場を設置する。 ビジターセンターでは、二戸や周辺市町村の観光案内をはじめ、レンタサイクルやB.B.Qセットの貸し出しなど、レジャーの受け付けとしての機能も持つ。また、B&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)のような、若い人でも気軽に低料金で宿泊できる施設を付帯させる。 駐車場は、大型バスが入れるようにする。周辺の雰囲気を重視し、また外側からはあまり車が見えないようにするために、境界には植栽による目隠しをする。     〜二戸の文化再発見〜「田中舘博士の家」「蔵」 などの再生・活用 田中舘博士が晩年を過ごした家は、博士が市民に講義を行っていた所でもある。平屋の外観は素朴で暖かみがあり、また内部には“モダン”な洋間もある。 現在空き家となっているこの家を、近隣のコミュニティセンターとして再生する。 また、土蔵内部を改装し、飲食施設などに利用する。 県道の東にある会輔社・稲荷文庫は、可能であれば公開できる形で整備する。ポケットパーク 土蔵から、又は田中舘博士の家の裏側からは、馬淵川の河原へ下りていくことができる。ここにポケットパー クを整備し、馬淵川沿いを二戸駅方面と、岩屋橋方面の両ルートの結節点とする。     〜五日町文化の発信地〜   位置  「大手門のかいわい」は、「城下のかいわい」・「呑香稲荷のかいわい」という二つのかいわいの中間にあって、その両側をつなぎ、人の流れを通りにも呼び込む役目をする。 空き家の活用 ソフト面で通り(県道)に賑わいを演出する仕組みを考える。 現状の通りは、店舗・空き店舗・住宅が路面に混在するかたちとなっている。営業を行っている店舗は相対的に少なく、人の流れができにくくなっている。小売業の活性化は重要な課題であるが、様々な状況から、新規の店舗が今後大幅に増加するとは考えにくい。そこで商業活動以外での、通りの活性化策も同時に練る必要がある。通りに賑わいをもたらすには、たとえば「まちなみギャラリー」: 通り沿いのショーウインドウをギャラリーに見立て、地元市民や児童・学生による伝統工芸作品や絵画の展示を行う「のれん」:手作りの「のれん」を空き店舗の入り口にかける のれんのデザインを全国に一般公募する「五日町のれんコンテスト」を開催し、イベントとして盛り上げる。そして、まちなみの一要素として、デザインの凝った質の高いのれんを配するなど、空き店舗にも人のアクティビティが感じられるように工夫する。 
【提案3の抜粋】

行き交う人が四季折々に楽しめる、見せる庭づくりをすすめる  「福岡という村は広い主要街の中央に小さな庭園がいくつも並び、そして町が清掃してあって、極めて美しかったことを覚えている。」 〜エドワード・モース(1838〜1925)〜    「日本その日その日」より  共同井戸の周辺を、コミュニティのための溜まり場となるような、潤いのある空間に再生する町のなかで、際立たせるべき建物等(図) と、その周囲にあって図を引き立たせるもの(地)を明確にする





【提案4の抜粋】








自然的・歴史的財産の位置や見所のポイントをわかりやすく示したガイドマップ〜宝の地図〜を作成する 自分たちの住む所のガイドマップをつくってみる。この作業を通して地域の“宝”を視覚的に再確認することができる。またガイドマップは、観光客や町歩きに参加する住民にとって、地域を理解する手がかりとなる。 完成したマップは駅・ビジターセンター等で希望者に配布できるようにする。二戸の郷土料理を一緒に作ってみるなど、一方通行ではないプログラムをつくり、様々な二戸の魅力をより多くの人に知ってもらう普段は立ち入れないような所(歴史的な民家等)でも、ある一定期間に限って見学できるようにする、あるいは農作物の収穫に参加し、その素材を使った料理教室を開く等、単なる旅行者では体験できないプログラムを組む。
二戸まちづくり アクションプラン(案) 1998−2007  21世紀にかけて社会がダイナミックに動くこの10年に、どういうまちづくりをしていくのかによって、二戸の将来は大きく変わると考えられる。そこで私たちの提案(第4章〜第8章)と、それをもとにした住民の方とのワークショップで出た意見(第章)をまとめて、「二戸まちづくり アクションプラン」(案)をつくってみた。これは、まちづくりの「布石」となる戦略を、1998〜2007年の10年間の範囲で提案するものだ。    住民主体の、二戸のまちづくりを考え提案していく組織 まちづくりに関連するイベントの企画や、まちづくり計画の提案、先進地域への視察等、幅広い活動を行う二戸の歴史や自然が身近にあり、また人の集まりやすい市内に研究所を置く    →現在空き家となっている田中舘邸を改修研究所そのものも、まちづくりへのアクションとする →研究所の敷地(庭など)を一般に開放。内部にも、誰もが気軽に立ち寄れるスペースを設ける。外塀・植栽などに配慮。住民と行政の意見交換・協力の場


 

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